ある程度築年数が経過した古家を売却する場合、家を残したまま売却したほうが良いのか、建物は解体して更地で売却したほうが良いのか、迷うと思います。
この記事では古家を売却するときのリスク、古家をスムーズに売却する方法と注意するポイントなどを解説します。
築何年から古家になるの?
「古家」と言われても、どこからが「古家」なのか明確な基準はありません。
一般的に古家といわれる基準は、以下の2点ではないでしょうか。
・耐用年数
・耐震基準
法定耐用年数と経済耐用年数
いわゆる法定耐用年数は税金の計算上、「価値が0円になるのは何年」ということを決めるためのものです。
木造住宅の場合22年、鉄筋コンクリート造の場合47年とされています。
平成10年に建物の耐用年数が短縮されていますが、建物の性能が低下したのではなく税金の計算上の事情(減税)で短縮されていることから、法定耐用年数は建物の使用可能年数とは無関係です。
経済耐用年数は実際の使用可能期間を指し、これに基づいて築年数が一定以上の住宅が「古家」と見なされます。
早稲田大学 小松幸夫教授の調査によると、ある建物が竣工してから解体されるまでの時間(建物の平均寿命)は50~60年程度とされており、法定耐用年数よりも長くなります。
建物は法定耐用年数が経過しても十分に使用できるものの、金融機関が法定耐用年数を建物評価に用いているケースが多いことが影響して一般的に木造住宅は20年経つと価値がなくなると言われています。
新耐震基準に適合しているか
1981年(昭和56年)に震度6~7程度の地震でも建物が倒壊しないことを基準として耐震基準が改正されました。
築年数が古い住宅は現行の基準に適合していない可能性があります。これも古家とされる要因の一つです。
古い建物の売却:耐震基準と知っておくべきポイント
古い建物の売却において重要なポイントである耐震基準について詳しく解説します。また、売却をスムーズに進めるための具体的な方法や、売却時の注意点についてもご紹介します。
旧耐震基準だと住宅ローンが使えない?
1981年(昭和56年)に耐震基準が改正され、新耐震基準が導入されました。
それ以前の基準に基づいて建築された住宅は旧耐震基準に該当し、耐震基準適合証明書が取得できず耐震性が不十分な場合、買い手が住宅ローンを利用しづらい(旧耐震基準の建物の取扱がない、建物評価が低い)可能性があります。
古家付きで売却するメリットとは
- 住宅の解体にかかる費用がかからない(ただし解体費相当額を値引き交渉される可能性がある)
- 建物を解体すると、固定資産税や都市計画税が高くなる
- 買い手がリノベーションを目的に購入するケースも多い
古家売却のリスク
売主は建物に関して責任があるので、建物の状態を説明し、建物に不具合がある場合は契約書に明記する義務があります。
特約で免責とすることができますが、引渡し後一定期間は建物に不具合が発見された場合には修理費用などを負担する必要があります。
古家売却の基準と売却方法
古家を解体して更地で売却
建物が古く住宅として利用できないほどに状態が悪い、リフォームしても使えそうにないという場合には、古家を解体して土地として売却することが適切です。
解体することで土地としての価値を最大限に引き出せますが、固定資産税が上がる可能性があるため注意が必要です。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除は建物を取り壊してしまうと適用条件が厳しくなりますので解体前にスケジュールを確認しましょう。
中古住宅として売却
築年数が経過していても家の状態が良く価値が認められる、あるいはリフォームすれば十分住めるといった場合には中古住宅として売却することができます。
売買された中古住宅に欠陥が見つかった場合でも、補修費用等の保険金が支払われる既存住宅売買瑕疵保険に加入することでリスクを軽減することができます。
(中古住宅の検査と保証がセットになった保険)
古家付き土地として売却
古い建物が残っている状態で土地の価格のみで売却する方法もあります。
建物の使用を前提にリノベーション目的で購入する人もいれば、解体して家を新築する人もいます。
「古家付き土地、更地渡しも相談可」として売却すると古家の処分を買主に委ねることができます。
ただし、古家の状態が極端に悪い場合には、見た目の印象が悪くなり売却に苦戦することが多いので更地で売却することをお勧めします。
古家付き土地として売却する場合には、「建物に価値はなく建物の不具合に責任を負わないこと」、解体をする場合には「誰の責任と負担で行うか」など事前に決めておくことがあります。
まとめ
古くなった家の売却には、築年数や耐震基準、法的な問題などさまざまな注意点があります。建物の寿命や耐用年数を理解し、適切な売却方法を選ぶことで、スムーズに売却を進めることが可能です。各ケースに応じた最適な選択肢を見つけ、売却の成功を目指しましょう。
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・不動産業界20年の経験を持つベテラン
・宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、賃貸不動産経営管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を保有
・実需不動産、投資用不動産、任意売却など幅広い分野の実務経験
・これまでに数多くのお客様の不動産売買、賃貸、資産運用をサポート
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