神奈川県の空き家対策と自治体の取り組み完全ガイド

神奈川県の空き家問題とは?現状と課題を理解しよう

日本全国で問題視されている空き家問題は、神奈川県でも深刻化しています。地方から都市部への人口集中や少子高齢化の進行に伴い、空き家は増加の一途をたどっており、自治体や地域社会にさまざまな課題をもたらしています。

空き家の定義と増加する背景

空き家とは、長期間にわたって人が住んでいない、または使われていない建物を指します。特に「特定空き家」と呼ばれるものは、倒壊の危険や衛生問題を引き起こす可能性が高く、対策の優先度が高いとされています。神奈川県内でも、こうした空き家の増加が問題となっており、その背景には高齢化や都市部への若年層の移住、相続した家を維持できないといった要因があります。

神奈川県の空き家数の現状データ

令和5年住宅・土地統計調査によると、神奈川県の空き家数(空き家のうち賃貸・売却用や別荘などを除いた使用目的のない空き家)は約15万戸に達しており、これは県内全住宅の約3.5%を占めています。特に横浜市(約5万戸)や川崎市(約2万戸)の都市部でも多数の使われていない空き家があります。

使用目的のない空き家のうち、約20%は不朽・破損のある空き家(建物の主要部分やその他の部分に不具合があるもの)となっており、適切な管理が行われていない物件が地域に与える影響が懸念されています。

空き家が引き起こす主な問題

空き家が増加することで、地域社会にはさまざまな問題が発生します。治安の悪化や不法占拠、放火などの犯罪リスク、また景観の悪化やゴミの不法投棄など環境問題が深刻化します。さらに、適切に管理されていない空き家が周辺の不動産価格に悪影響を与え、資産価値の低下も招きます。

神奈川県内の自治体による空き家対策の概要

神奈川県の自治体は、空き家問題に対処するためにさまざまな施策を打ち出しています。これらの対策は、法律に基づくものや地域特有の取り組みなど、多岐にわたります。

相続空き家の売却(税控除)

空き家の譲渡所得の3,000 万円特別控除(税控除)

相続した空家(敷地を含む)又は解体後の敷地をおおむね3年以内に譲渡した場合等、税務署への申告により、譲渡所得から最大 3,000 万円の特別控除を受けられる可能性があります。

相続直前まで当該家屋に被相続人が一人で居住していたこと、令和9年12月31日までに譲渡すること等の要件があります。
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/jutaku/sien/akiya/zeikoujo.html

各自治体の取り組みの共通点と特徴

神奈川県の自治体では、共通して空き家の適正管理を促す条例の制定や、所有者への補助金制度を導入しています。また、空き家を地域の資源として活用する取り組みも進められており、地域活性化の一環として、観光や移住促進のために空き家を再利用する事例が増えています。

空き家対策特別措置法の導入と影響

2015年に施行された「空き家対策特別措置法」により、自治体は危険な空き家に対して強制的な措置を取る権限が付与されました。これにより、神奈川県内の自治体は特定空き家を調査し、必要に応じて撤去命令を出すなど、迅速な対応が可能となっています。

2023年に空き家対策特別措置法は改正され特定空き家予備群を管理不全空き家に指定できることになり、空き家を放置させないよう、所有者に適正な管理をより強く促すものとなりました。

神奈川県の自治体別空き家対策:各市町村の取り組みを徹底解説

各市町村は独自の空き家対策を展開しており、地域の特性に合わせた取り組みが行われています。

横浜市:空き家利活用促進事業と補助金制度

横浜市は、空き家の利活用を促進するための補助金制度を設け、所有者がリフォームを行う際の支援を行っています。また、空き家を地域コミュニティ施設や子育て支援施設として再利用するプロジェクトも進められています。

空家を活用した住替え

省エネ住宅住替え補助制度(リノベ型)
子育て世帯等に対し、既存住宅を断熱改修(ZEH レベル以上)し、住替えを行う費用を補助します。

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/jutaku/sien/shoene/event/sumikae06.html

空家活用のマッチング制度

横浜市内の空家等の所有者と、地域活動の拠点を探している団体や事業者との橋渡しし、対話の場を設定する制度です。

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/jutaku/sien/akiya/akiyamatching.html

建築物の解体

住宅除却補助事業
昭和56年5月末以前に建築確認を得て着工された木造住宅に対して、解体工事に要する費用を補助します。

https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/bosai/taishin/hojokinshienseido/mokutai/jyuutakujyokyaku.html

建築物不燃化推進事業

昭和56年5月末以前の建築物などの老朽建築物に対して、解体工事に要する費用を補助します。
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/bosai/hojoshinsei/hojo.html

ブロック塀等の解体・改善

ブロック塀等改善事業
地震によるブロック塀等の倒壊を防止し、歩行者の安全性を確保するため、道路等に面する高さ1m以上で倒壊の恐れのある危険なブロック塀等の解体、解体とセットで行う軽量フェンス等の新設工事に要する費用を補助します。
https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/bosai/blockbei/blockbei.html

横浜市木造住宅耐震改修補助制度

横浜市木造住宅耐震改修促進事業は、木造の個人住宅の耐震改修工事費用の一部を市が補助する制度です。

https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/bosai/taishin/hojokinshienseido/mokutai/mokukaishu/mokukaishu.html

川崎市:空き家バンクとリフォーム支援

川崎市は、空き家バンクを活用して、空き家を希望者に紹介し、新たな居住者とのマッチングを行っています。さらに、旧耐震住宅のリフォーム費用の一部を補助する制度を設け、空き家の活用を推進しています。

木造住宅耐震改修助成制度

木造住宅の所有者等が耐震改修等を実施する際、市が費用の一部を助成します。

https://www.city.kawasaki.jp/500/page/0000032250.html

相模原市:空き家の適正管理条例と助成制度

相模原市では、空き家の適正な管理を所有者に義務付ける条例を施行し、必要な修繕や管理を怠った場合に罰則を科す制度があります。

戸建住宅耐震改修計画・工事一括補助制度

https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/1026529/bousai/1008801/1008815.html

大和市

大和市木造住宅耐震改修工事費等補助金制度

耐震診断による結果が基準以下の場合は、市が耐震改修費用の一部を助成します。

https://www.city.yamato.lg.jp/gyosei/soshik/35/taisinka/4702.html

横須賀市

横須賀市の総住宅に占める空き家の割合 14.8 パーセントは、国・県平均を上回る数値となっており、総合的な空き家等対策に取り組んでいます。

空き家に対する解体助成制度

横須賀市では、古くなり老朽化した空き家の解体工事費用に対する補助を行っています。
空き家の老朽度や築年数などの状況に応じ、利用できる補助金は以下の2種類です。

①空き家解体費用助成事業
②旧耐震空き家解体助成事業

https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/4821/akiyakanri/kaitaihojo.html

住宅の耐震診断補強工事補助事業

住宅の耐震診断・改修計画書の作成、耐震補強工事図面作成、耐震補強工事、工事監理の費用の一部を補助する制度があります。

https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/4840/sidouka/taisin.html

藤沢市:観光資源としての空き家利活用事例

藤沢市では、観光地の特性を活かし、古民家や空き家をゲストハウスやカフェとして再利用するケースが増えています。これにより、観光客を呼び込み、地域経済の活性化に寄与しています。

藤沢市空き家利活用事業補助金制度

空き家を地域資源として再生し、地域の公共的、公益的な活動の場として利活用することを目指した団体等に対して、予算の範囲内で初期経費の一部を補助する制度を実施しています。

https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/jutaku/akiya/rikatsuyouhojokin.html

逗子市

逗子市は、空き家バンク登録・活用支援助成や空き家を売却するまでにかかる必要経費について補助金を交付しています。

空き家バンク登録・活用支援助成

市内にある空き家を「逗子市空き家バンク」に新規登録した所有者または管理者に残地物の整理や庭木の手入れ、権利関係の整理費用等に要する費用の一部を助成します。

https://www.city.zushi.kanagawa.jp/kurashi/sumai/1002149/1002164/1002169.html

空き家流通促進補助モデル事業

空き家アドバイザー派遣制度を利用して空き家を売却するまでにかかる必要経費について補助金を交付します。

https://www.city.zushi.kanagawa.jp/kurashi/sumai/1002149/1002164/1002168.html

木造住宅耐震診断・耐震補強工事等補助制度

耐震診断・耐震補強工事・耐震シェルター等設置に係る費用の一部を補助しています。

https://www.city.zushi.kanagawa.jp/kurashi/sumai/1002149/1002158/1002159.html

空き家を持つオーナー向け:自治体支援の有効活用法

修繕・解体費用の補助金申請

自治体は、空き家の修繕や解体費用に対して補助金を提供しています。これを利用することで、空き家の管理負担を軽減できます。

空き家管理サービスの利用

空き家の管理が難しい場合、専門業者に委託することで、定期的なメンテナンスや清掃を行うことができます。

自治体との相談窓口の利用

自治体には、空き家に関する相談窓口が設置されており、所有者が抱える疑問や不安に対して専門的なアドバイスが提供されます。

まとめ:空き家を放置しないために早めの行動を

空き家問題は、放置すればするほどリスクやコストが増加します。神奈川県内の各自治体はさまざまな支援策を用意しているため、早めに相談し、適切な対策を講じることが重要です。

栄不動産株式会社では空き家管理や補助金申請のアドバイスなど空き家対策のお手伝いをさせていただいております。
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投稿者プロフィール

栄不動産
・不動産業界20年の経験を持つベテラン
・宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、賃貸不動産経営管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を保有
・実需不動産、投資用不動産、任意売却など幅広い分野の実務経験
・これまでに数多くのお客様の不動産売買、賃貸、資産運用をサポート