2023年6月に改正法が公布された空家対策特別措置法の施行日が12月13日に決定しました。

空家対策特別措置法は、空家を適切に管理・活用し、防災や衛生、景観等の地域住民の生活環境の保全を図ることを目的とした法律です。

本記事では、空家対策特別措置法とその改正について、空家を所有している人向けに、わかりやすく解説します。

空家対策特別措置法とは?2023年改正で空家所有者に求められる役割と支援制度を解説

空家対策特別措置法とは

空家対策特別措置法は、2015年に施行された法律です。増加の一途である空家を適切に管理・活用し、防災や衛生、景観等の地域住民の生活環境の保全を図ることを目的としています。

空家の定義

空家対策特別措置法では、空家を「居住者がいない状態が、1年以上継続する家屋」と定義しています。

空家には、以下のようなものが含まれます。

  • 人が住んでいない空家
  • 人が住んでいるが、あまり使われていない空家
  • 空地や空き倉庫など、建物ではないが、人が利用していない土地や建物

空き家対策の流れ

空家対策の流れは、以下のとおりです。

市町村が空家を把握する
固定資産税等に関する情報の活用し、空家等の実態把握・所有者の特定等を行います。
管理状態の極めて悪い空家を「特定空家」に指定
管理な建築物等(倒壊の恐れ、衛生的に問題あり等)を「特定空家」に指定します。
空家の所有者に活用の促進や解体などの勧告を行う
助言又は指導→勧告→命令の順に措置が進みます。
所有者が勧告に応じない場合、市町村が空家の活用や解体などの措置を行う
改善しなかった場合、最終的に行政代執行で不動産の解体が行われます。(費用は所有者が全額負担)

特定空家は固定資産税の特例の対象から除外

「特定空家」に該当し、勧告に対する必要な措置が講じられない家屋の敷地については、固定資産税の「住宅用地の特例」の適用対象から除外されます。

※住宅用地の特例が適用されると、土地部分の固定資産税評価額が200㎡まで6分の1、200㎡以上で3分の1に軽減されます。

空家対策の支援制度

空家対策特別措置法では、空家を活用・解体する際に、国や地方自治体から支援を受けることができます。

空家対策の支援制度には、以下のようなものがあります。

  • 空家バンク等の空家活用のマッチング制度
  • 空家改修・利活用補助金
  • 一定の条件に合致する空家解体補助金

自治体のホームページ等で各種支援制度が検索できますので調べてみましょう。

2023年 空家対策特別措置法改正のポイント

所有者の責務強化

現行の「適切な管理の努力義務」に加え、国、自治体の施策に協力する努力義務

活用拡大

①空家等活用促進区域 (例)中心市街地、地域の再生拠点、観光振興を図る区域等

・ 市区町村が区域や活用指針等を定め、用途変更や建替え等を促進
・ 市区町村長から所有者に対し、指針に合った活用を要請

②財産管理人による所有者不在の空家の処分

市区町村が裁判所に「財産管理人」の選任を請求し、修繕や処分を実施できる


③支援法人制度

市区町村長がNPO法人、社団法人等を空家等管理活用支援法人に指定

管理の確保

①特定空家化を未然に防止する管理

・ 放置すれば特定空家になるおそれのある空家(管理不全空家)に対し、管理指針に即した措置を、市区町村長から指導・勧告
・ 勧告を受けた管理不全空家は、固定資産税の住宅用地特例を解除

②所有者把握の円滑化
・ 市区町村から電力会社等に情報提供を要請可能に

特定空家の除却等

①状態の把握

・ 市区町村長に報告徴収権を認め勧告等を円滑化する

②代執行の円滑化

・ 緊急時の代執行制度を創設
・ 所有者不明時の代執行、緊急代執行の費用は、確定判決なしで徴収できるようになる

③財産管理人による空家の管理・処分(管理不全空家、特定空家等)
・ 市区町村長に選任請求を認め、所有者に代わり財産を管理・処分できるようになる

まとめ

空家対策特別措置法は、空家を適切に管理・活用し、地域住民の生活環境を守るための法律です。2023年の法改正で空家対策はさらに進みました。

空家を所有している人は、空家対策特別措置法の概要や義務、支援制度などを理解し、空家を適切に管理・活用するようにしましょう。

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投稿者プロフィール

栄不動産
・不動産業界20年の経験を持つベテラン
・宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、賃貸不動産経営管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を保有
・実需不動産、投資用不動産、任意売却など幅広い分野の実務経験
・これまでに数多くのお客様の不動産売買、賃貸、資産運用をサポート