税金を滞納していると、最悪の場合、自宅などの不動産が差し押さえられてしまう可能性があります。差し押さえられた不動産は、公売によって強制的に売却されてしまい、多額の借金が残ってしまうだけでなく、住む場所を失ってしまうという深刻な事態に陥ります。
本記事では、税金滞納による不動産差し押さえについて、差し押さえの流れ、差し押さえ解除・任意売却の手段、そして差し押さえられた場合の注意点について詳しく解説します。
税金滞納による不動産差し押さえとは
税金を滞納すると銀行の預金口座、勤務先の給料、不動産の差し押さえなどが行われます。
税金滞納による不動産差し押さえとは、地方自治体が滞納税金の回収手段として、納税者の不動産を差し押さえ、公売によって強制的に売却する手続きです。
税金の滞納に対する役所の対応は市区町村によって異なりますが、管轄が税務署となる国税の滞納はより厳格に対応されるケースが多いようです。
差し押さえの流れ
税金滞納による不動産差し押さえは、以下の流れで進められます。
- 督促状の送付:地方自治体は、滞納税金を納税者に督促する文書である督促状を送付します。納付書が同封されていることもあります。
- 催告書:督促状を送付して、それでも納付されない場合に納付催告書、財産調査予告書、差押事前通知書、最終差押通知書などの催告書が届きます。催告書の送付は差押手続き上、必須とされているものではないため、催告書を送ることなく差押処分を執行する場合もあります。
- 財産調査:税金等を滞納すると法律に基づきすべての財産に対する調査権限が発生します。納税者が督促状に応じない場合、地方自治体は納税者の財産を調査します。自宅だけでなく金融機関・勤務先・取引先等に対して調査が行われます。
- 差押登記:地方自治体・税務署は差し押さえする不動産に差押登記を行います。差押登記されると、その不動産は自由に売却したり、抵当権を設定したりすることができなくなります。
- 公売:納税者が滞納税金を完納しない場合、地方自治体は差し押さえた不動産を公売にかけます。公売とは、裁判所が定めた期日と場所で、入札者のなかで最も高い価格を提示した者に不動産を売却する手続きです。差押えから公売までの期間は決まっておらず1年程度で公売となることも5年以上経過してから公売となることもあります。差押えをしたからすぐに公売となるわけではありません。
※延滞金について
納期限を過ぎると、納期限の翌日から納める日までの期間の日数に応じ、法律で定められた割合で計算した『延滞金』が加算されます。
延滞金がかかる場合には、もとの税額に加えて延滞金の額も合わせて納付することとなります。
・納期限後1か月以内 年2.4%
・納期限後1か月超 年8.7%
(令和4年1月1日から令和6年12月31日まで)
差し押さえ解除・任意売却の手段
差し押さえられた不動産を取り戻すためには、以下の手段があります。
延滞金分割納付を申し出る
滞納税金を一括で納付することが難しい場合は、地方自治体に延滞金分割納付を申し出ることができます。延滞金分割納付が認められれば、分割で滞納税金を納付することができます。ただし、分割納付の条件は地方自治体によって異なるため、認められないこともあります。
滞納税金を完納する
長期間の滞納であったり、公売通知が届いている場合、役所からの連絡を無視して悪質ととられてしまっている場合などは分割の納付を認めてもらえないことがあります。
最も確実な方法は、滞納税金を完納することです。滞納税金を完納すれば、差押登記が抹消され、不動産は自由に処分できるようになります。
任意売却
任意売却とは、地方自治体の許可を得て、自分で不動産を売却する方法です。公売よりも高く売却できる可能性があり、住む場所を失わずに済むというメリットがあります。
任意売却のほうが公売より高額で売れる可能性が高く、回収できる税金が増えるケースでも、役所の担当者が任意売却に非協力的な場合があるため早めの相談が必要です。
住宅ローンの残っている不動産を役所が差し押さえた場合には、役所以外にも債権者とも交渉が必要となり、交渉が難航します。
公売
上記の方法で解決できない場合は、公売によって不動産が強制的に売却されます。公売では、市場価格よりも低い価格で売却されることが多いため、できるだけ他の方法で解決することが望ましいです。
差し押さえられた場合の心構え
もし、差し押さえられた場合は、以下のような点に注意する必要があります。
- まずは誠意をもって役所や税務署に相談する(支払う意思を示す)
- 差し押さえ解除・任意売却の可能性を検討する
- 生活再建に向けて準備を始める
まとめ
税金滞納について、役所が強制的に差し押さえるのは、ほとんどの場合、税金滞納者から何の連絡もないからです。
税金滞納による不動産差し押さえは、深刻な問題です。差し押さえられる前に、滞納税金を納付するように努めましょう。
もし、差し押さえられてしまった場合は、慌てずに冷静に対処し、役所や税務署、専門家などに相談しながら、解決策を模索することが重要です。
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・不動産業界20年の経験を持つベテラン
・宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、賃貸不動産経営管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を保有
・実需不動産、投資用不動産、任意売却など幅広い分野の実務経験
・これまでに数多くのお客様の不動産売買、賃貸、資産運用をサポート
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