不動産を売却する際には、不動産査定額を把握しておくことが大切です。不動産査定額は、不動産の価値を客観的に評価するための指標であり、売却価格を決める際にも役立ちます。

本記事では、不動産査定額の算出方法について、不動産の売却を検討している人向けに、わかりやすく解説します。

不動産査定額の算出方法を解説

不動産査定額は、不動産の価値を客観的に評価するための指標です。不動産の売却価格を決める際にも役立ちます。

不動産査定額は、不動産の立地、築年数、間取り、設備、周辺環境などのさまざまな要素を考慮して算出されます。

不動産査定額の算出方法

不動産査定額は、以下の3つの方法で算出することができます。

取引事例比較法

取引事例比較法とは、過去に取引された不動産の価格を参考に、不動産の価値を評価する方法です。

不動産の立地や築年数、間取りなどの条件が近い物件の取引価格を参考にして、不動産の査定額を算出します。

「査定物件」と「成約事例」を比較して条件ごとにそれぞれに点数を付けて評点を算出します。その評点に対して1㎡あたりの価格をかけて査定額を算出する方法です。

取引事例比較法の査定書例(評点計算式)
取引事例比較法の査定書例

適切な取引事例をピックアップして個別の条件や取引時点の相場などに応じて補正を行います。取引事例を数多く集めることで相場を反映した精度の高い査定価格が算出できます。

ピックアップする事例によって査定額に差が出てしまうことや評点をつけるのは査定をする人の判断になるため、査定者の主観が大きく介入することが取引事例比較法のデメリットとなります。

自己居住用の「中古マンション」「土地」「戸建ての土地部分」の査定時に使われます。

原価法

原価法とは、戸建て住宅の建物部分を査定時に使われます。

現在の建物を取り壊し、「全く同じ建物をもう一度建てた場合いくらかかるのか」(=再調達価額)という観点から建物の価値を評価する方法です。

再調達価格から築年数に応じて老朽化している部分の価格を引いたものが建物の査定額として算出されます。

原価法にはいくつか問題点があります。

  1. 税法上の耐用年数を参考にしているため木造住宅は20~25年で建物の価値がゼロになってしまう
  2. 国税庁の「建物の標準的な建築価額」を参考に再調達価格を算出するが、実際の建築価格とは大きな乖離がある
  3. 建物の増改築・修繕を価格に反映させる基準がない
建物の標準的な建築価額表(単位:千円/㎡)
参考:国税庁 建物の標準的な建築価額表(単位:千円/㎡)

国交省は「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」を開催し報告書をまとめましたが、金融機関の不動産評価は変わっておらず、建物評価については改善がなされていません。

収益還元法

収益還元法とは、不動産から得られる収益を参考に、不動産の価値を評価する方法です。主にアパートや投資用マンションの査定時に使われます。

不動産を賃貸した場合の想定家賃収入や、不動産を売却した後の想定利益などの収益を参考にして、不動産の査定額を算出します。1年間の収益を利回りで割り戻して価格を算出する「直接還元法」と連続する複数の期間の収益と売却時の価格を現在価値に割引きそれぞれを合計する「DCF法」の2種類があります。

どちらも不動産が稼ぐ収益に着目して不動産の価格を算出する方法ですが、多くの不動産業者が不動産価格の査定を行う際は直接還元法を使います。

直接還元法の査定書画像
直接還元法の査定書例

不動産査定を依頼する際の注意点

不動産査定を依頼する際には、以下の点に注意しましょう。

  • 複数の不動産会社に査定を依頼する
  • 不動産会社の実績(得意不得意)や信頼性を確認する
  • 査定方法や価格の根拠を確認する

複数の不動産会社に査定を依頼することで、適正な査定額を把握することができます。また、不動産会社の実績や信頼性を確認することで、安心して査定を依頼することができます。

査定方法や価格の根拠を確認することで、媒介契約欲しさに根拠のない高値の査定額を提示されていないか不動産査定額の妥当性を判断することができます。

まとめ

不動産査定額は、不動産の売却を検討している人にとって重要な指標です。

本記事で紹介した不動産査定方法を参考に、不動産査定額を把握して、不動産売却に役立ててください。

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投稿者プロフィール

栄不動産
・不動産業界20年の経験を持つベテラン
・宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、賃貸不動産経営管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を保有
・実需不動産、投資用不動産、任意売却など幅広い分野の実務経験
・これまでに数多くのお客様の不動産売買、賃貸、資産運用をサポート